夫と10年以上家庭内別居。このままでいいのでしょうか【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.43】
40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。
一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。
そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!
<PROFILE>
ジェーン・スーさん
コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。
HARUKOさん
モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。
~第43回~
◇ 夫と10年以上家庭内別居。このままでいいのでしょうか
夫は、外資系の大手証券会社に勤めていましたが、リーマンショックで日本支社が閉鎖になり、他の証券会社に転職、その後、保険、証券会社などに何度も転職しています。ヘッドハンティングされて転職、と言えば、聞こえがいいのですが、実際は、転職するたびに条件が悪くなり、本人も不満を感じることが多いようで、家に帰ってくると、いつも愚痴ばかり言っていました。最初は、私も聞いていたのですが、いつも他人のせいにばかりして、悪口ばかり言っています。いい加減、辟易してしまい、夫が帰ってくると、食事だけ出して、私は自室に入ってしまうようになりました。
それがいつしか日常になり、10年間、私は家事はしますし、最低限の事務的な話や、飼っている犬の話はしますが、それ以外はいっさい口をきかない生活が続いています。夫は趣味の野球で週末いないのですが、いるときは、私が外出して、一緒にならないようにしています。子どもはいません。これを家庭内別居と言うのだなとは思いつつも、離婚という話は夫からはでてきません。このままでは、人生を無駄遣いしているような気がして、むなしくなります。私は、今は、短期のアルバイトをするくらいしか働いていないのですが、薬局で働けたらいいなと思い、昨年、登録販売者の資格取りました。親の遺産も2000万円ほどあります。離婚して、新しい生活を始めたほうがいいのか、とも思うのですが、勇気がなくて踏み切れません。
(横浜市在住 H.Oさん 48歳 主婦)
私は、人生において、目の前にある嫌なことや、乗り越えたいことには、きちんと向き合って、向かっていきたいタイプなので、どうして、今のような状態を10年も続けられるのかがよく理解できないです。お互い腫物に触るみたいにして、接しているなんで、私から見ると、不幸でしかなくて。仲良く過ごすか、別れるか、どういう結果になるにせよ、問題と向き合ったほうがいいんじゃないかな。そうでないと、体壊しちゃいそうじゃないですか?
私も、問題を解決せず10年そこに置いておくっていうのは、絶対に無理ですね。H.Oさんは、お金もあるんですよね。先日、友達が良いことを言っていて、他のコラムでも書いたのですが、「人間は、見たことのない不安よりも、目の前にある不幸を選んでしまうもの」というんです。得体がしれない、この先への不安っていうのは、見たことがないからすごく怖い。でも、慣れ親しんだ不幸は、どの程度まで自分が傷つくかも、経験上わかっているから、そちらを選び続けてしまう。でも、私は、生まれてきた自分に対して、たった1つだけ義務があるとしたら、それは、不幸な場所にい続けないということだと思うんです。誰でも、不幸な状態に、どんなに気を付けていても不幸な状況に陥ってしまうことってありますよね。でも、鎖で繋がれているわけはないんだから、自分の足でその場所から抜け出すことってできるわけですよ。問題と向き合うしか、解決策はないと思います。踏み出す勇気は、誰かに与えてもらえるものじゃなくて、自分で獲得するしかない。
夫婦やカップルで、お互い向き合わないことに慣れちゃって、別に好きでもないけれど、現状維持という方もいますよね。夫婦ってこんなものかな、なんて思ってしまうのかな。
そうそう。H.Oさんはすごく思い詰めているけれど、旦那さんは、全く問題ない、と思っているかもしれない。だから、いきなり、離婚話ではなく、一度、自分の気持ちを伝えて、相手はどう思っているのか確認したほうがいいとは思います。今問題と向き合わないで先延ばしにしても、いつか絶対、向き合わざるを得なくなるときが来ると思うんですよ。いちど、解決に向かって動いてみることをおすすめしますね。
当連載は毎週金曜日配信です。
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撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美