【続】35歳で7歳年下のイケメンと結婚。「男に頼るのは嫌」な女は、元港区女子より格上か?

「港区女子」。それは何かと世間の好奇心を煽る存在。

彼女たちは一体どんな女性なのか? そんな議論が度々上がるけれど、港区で暗躍する素人美女、パパ活女子、あるいはラウンジ嬢など……「港区女子」の意味合いや捉え方は人それぞれ。

そして謎に包まれた彼女たちにも時間は平等、歳をとる。港区女子たちは、一体どんな着地をしているのだろうか。現在アラフォーとなっていると思しき元港区女子たちの過去と現在に迫る。

※この物語は実際の出来事を元にしたフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

▼前回はこちらから
「まさか相手は弁護士…?」ハイスペックな夫を見つけた港区女子に動揺。キャリア女子の優越感が砕けた瞬間

結婚より、仕事で人生を豊かにする

男だけが女の人生じゃない。

たぶん朝美の結婚を機に、私はますます仕事にのめり込んだ。

30歳を過ぎて女が独身でいると、「結婚はどうするの?」と散々周囲から投げかけられる。そんな風潮にはうんざりだったし、実際に結婚願望もわかなかった。

というより、女性誌の編集部の仕事が忙し過ぎて、恋愛をする余裕もほとんどなかった。寝ても覚めても仕事のことばかり考えていたし、すると余計なことも考えなくて済む。仕事で自分の人生を豊かにできる楽しさもあった。

それでも30代半ばにさしかかると、ふと「でも、このまま1人で生きていきたいわけでもない……」と考え始める自分がいた。

そんなタイミングで出会ったのが、俊也だった。

年下男子との出会い

俊也は会社の営業チームの後輩で、企業タイアップの仕事で絡むようになった。7つ年下の彼は最近の若らしい線の細さと、どこか韓国俳優ぽい綺麗な顔立ちをしていた。

当初、仕事に没頭していた私は彼に気を取られることはなかったけれど、俊也は仕事ができる男で、誰よりも早く成果を上げる。若い世代にありがちな軽薄さもなく、真摯に仕事に取り組む姿勢に信頼を持つようになった。

ある日、仕事終わりに偶然一緒に帰ることになり長話をした。そして俊也は不意にこう言ったのだ。

「茜さんみたいに、どんなに忙しくてもしっかりと目標に向かう姿は素敵だと思います。僕も見習って毎日頑張ってます」

あのとき、不意に胸がじんわり温かくなった。自分の努力をちゃんと見てくれている人がいる。年下の彼がそんな評価をしてくれているのが嬉しくてたまらなかった。

それから私たちは少しずつ仕事の後に食事をするようになり、自然と恋愛関係になった。

俊也は公私ともに支え合える存在で、私の「男に頼るのは嫌だ」という気持ちを、自然と解きほぐしてもくれた。

「港区ママ」になった「港区女子」

私の住んでいた賃貸マンションの契約更新のタイミングで、彼が「じゃあそろそろ結婚して一緒に住もうよ」といってくれたときは、自分でも意外なほど幸せを感じた。

「まだ20代なの?! え、かっこいい! 年下男子なんて韓国ドラマみたいじゃん! いいなあ。さすが自立した女!」

久しぶりに集まったカフェで結婚報告をすると、朝美と由利は人目も憚らずキャーキャー騒ぎ立てた。彼女たちは変わらず人を褒めるのがうまいが、その言葉はあながちお世辞でもないだろう。

「……実は自分でも、ちょっとそう思ってたの」

女たちの笑いに包まれながら、私は解放されたような気分になる。

正直、心の中で「私は朝美や由利のような生き方はしない」と思い込み、その港区女子的な生き方にどこか懸念や疑問、嫉妬を持ち続けていた。

でも結局、生き方なんて人それぞれ。港区女子だろうとキャリア女子だろうと一般人だろうと、地道に自分の道を歩めば収まるべく場所に収まる。

「茜みたいにしっかり仕事して、余裕が出てから結婚するのもいいよね。私も最近仕事したいって思うもん。ほんと、かっこいいよ」

海外製のベビーカーをカフェのテーブルの脇に置き、まるでママ雑誌から飛び出てきたような洗練されたファッションに身を包んだ朝美が言う。カジュアルだけれど、節々に高級感のある小物を綺麗にまとめあげている。働く必要のない女でも、子育てを長くしていると物足りなくなるそうだ。

「私も出産終えたら、また仕事がんばらないと」

わずかにお腹を膨らませた由利は、妊婦特有の女性ホルモンのせいか少女のように艶やかな肌に笑窪を作った。地方局とはいえ表舞台の仕事をしているせいか、由利の容姿はますます磨かれ、素人には見えないオーラすらあった。

そんな2人は港区に住まい、30代半ばになっても華やかな世界で変わらず輝き続けている。

でも、私だってそれをただ眺めるだけではない。私の人生も彼女たちに引けをとらない価値が十分にあると、幸せを噛み締めていた。

▼続きはこちらから
【続2】「いつまで港区女子なの?」インスタの優雅な姿に心がザワつく…共働きで疲弊するワーママがSNSを見てしまう理由

取材/山本理沙 イラスト/黒猫まな子

おすすめ記事はこちら

時給3000円、可愛い女子大生限定の怪しいバイト...普通の女子大生が「港区女子」になるまで

【実録】18歳年下の彼と再婚間近のシングルマザー。でもそこに至るまでが波瀾万丈で…

シングルマザーがマッチングアプリで出会った13歳年下の彼との再婚を決めるまで――INTERVIEW新山千春さん①

STORY