【梅宮アンナさん】怖いのは、がんそのものではなく感染症「蚊に刺されることだって命取りになりかねない」

2024年8月13日、梅宮アンナさんは乳がん(浸潤性小葉がん)のステージ3Aと診断されたことを公表しました。11月7日には右胸の全摘出手術を受け、今年3月5日に抗がん剤治療を終えたところです。
この連載では、がんと向き合う梅宮アンナさんが、今感じていることをリアルに綴っていきます。

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がんになったとき、驚いたのが治療に関する誘惑の多さ。

私は、がんを根治するためには、抗がん剤・放射線・ホルモン治療 が必要不可欠だと考えたので、有効性が科学的根拠で証明されている標準治療を選択しました。免疫治療などは高額でありながら、効果が不確かな面もあるため、標準治療に専念しています。

ただ、がんを公表すると、これは芸能人あるあるなのかもしれないのですが、この治療が効きますよ!といった少々怪しさもあるモノや情報が山のように届きました。ちょっと驚きでしたね。例えば、「水素水がいい」「このアロマを使えば治る」「このサプリが奇跡をおこした」「この音楽を聴けばがん細胞が消える」、「このクリニックなら最新の免疫療法が受けられる」と高額な自由診療を勧められたり「砂糖はがんのエサだから絶対に食べない方がいい」と強く勧められたり、 など、ありとあらゆる情報やモノが届きましたよ(笑)。こんなに多くの情報や勧誘があると正しい選択をするのも難しいなと感じてしまいました。

私は治療を信頼している病院の先生とともに 二人三脚で治療を進めたいという思いがあって、それらはお気持ちだけいただくことにしています。先生の方針に反することをしたくなかったし、先生に言えないことをして治療に支障が出ることは避けたかったんです。

またインターネット上に出回っているがん治療に関する誤った情報で不安になる患者さんが1人でも減るよう、正しい情報を伝えたいとも思っていました。実際に、医療関係者からもSNSで広がる迷信に患者が影響を受け、治療に支障が出るケースがあると聞きました。

がんになっていちばん恐ろしいのは、がんそのものではなく感染症

2024年7月31日から抗がん剤をスタートして、2025年3月5日に無事抗がん剤パクリタキセル12回を終えることができました。がんと向き合う日々の中で、私が本当に恐ろしいと感じたことは、がんそのものではなく感染症です。

抗がん剤治療を受けていると、免疫力が低下し、そのため通常なら大したことのない風邪や肺炎でも、命取りになるリスクがあるのです。実際、私も治療中に肺炎にかかってしまって。その時は本当に大変で、普段なら乗り越えられるのが、免疫力が落ちた体には過酷な試練となりました。

免疫が落ちることによっての肺炎は特に恐ろしく、肺炎はがん患者の死亡原因としても大きな割合を占めているんです。コロナ禍の時と同じように、免疫が低下した状態で肺炎にかかると重症化しやすく、本当に苦しくて怖いものでした。抗がん剤治療中も、喉の痛みを感じると「風邪かな?」「インフルエンザか?コロナか?」と不安になり、すぐに病院へ行って検査を受けていました。幸いにも全部陰性でしたが、医師からは熱が38度を超えたらすぐに抗生物質を飲むようにと言われており、感染症の恐ろしさを改めて実感しましたね。

そして、傷の治りが極端に遅くなることも問題です。術後、適切なブラジャーがなく、代わりにアメリカで流行していたガムテープみたいなものを代用していたところ、皮膚が剥けてしまい、3か月経っても傷跡が残ったままだったのです。医師からは「擦り傷を作らないように」「夏の蚊にも気をつけるように」と言われて、特に蚊に刺されることによる感染症リスクの高さを指摘されました。幸いにも抗がん剤治療のピークが夏を避けられたため、大きな問題にはなりませんでしたが、もし真夏の治療であれば、さらにリスクが高まっていたと思います。

感染症には日々注意を払っていますが、過度に恐れすぎてしまうと、生活が制限され、精神的な負担も大きくなってきますよね。感染症が怖いからといって人と会うことを避け続けると、孤独を感じ、気分が沈んでしまうので、私は「感染が怖いから会わない」という極端な選択はせず、人と会っている時間も大切にするようにしています。実際、人と会うことで気持ちが前向きになり、それが私にとっての良い治療になっているような気もします。外出後の手洗いやうがいは徹底しつつも、過度に制限しすぎないスタイルです。

長いがん治療の中で、感染症のリスクとどう向き合うかは、これからも大きな課題です。免疫を守ることの重要性を意識しながら、慎重に治療を続けていきたいと思います。

今のこれからの楽しみは髪の毛が生えてくること!

先日、放射線治療が終わり、一つ区切りがつきました。そこから2週間の休みを挟み、3月後半からはまた次の放射線治療がスタートします。今度は月曜から金曜まで毎日通いながら受ける予定です。放射線治療が終わるGWごろで、そこが私にとっての、ひと息つけるタイミングになりそうです。そして、そこからは新たに10年間のホルモン治療がスタートします。経過や体調によってスケジュールは変わるかもしれませんが、治療をひとつひとつ終え、これから少しずつ日常を取り戻していけることが嬉しいです。

今、一番楽しみにしているのは、髪の毛が生えてくること。放射線治療が終われば、そこからはもう髪が生えてきます。でも、どんなふうに生えてくるのか、全部ちゃんと生えそろうのか、まだ分からないので、不安がないわけではありません。それでも「また髪が伸びていくのを実感できる」という喜びの方が大きいです。少しでも髪が生えてきたら、きっと楽しくなるはず。

そして、もうひとつの楽しみは、お風呂や温泉。体を温めることの大切さを、がんになって初めて実感しました。今まではゆっくりお風呂に入る習慣がなかったのですが、治療中は毎日湯船に浸かり、しっかり体を温めるようになって。そのおかげか、傷の治りも良かったように思います。温泉やスチームサウナにも行ってみたいし、リラックスできる温活サロンのような場所にも興味があります。

ただ、温泉に関しては少々心理的なハードルがあったりします。手術跡のことを考えると、みんなと一緒に入れるところには行きづらいかもしれません。そうした制約があるのは残念だけれど、その分、自分に合った楽しみ方を見つけていけたらと思っています。

がんになったことで、これまで見えなかったことがたくさん見えるようになりました。体を大切にすることの大事さ、病気と向き合う人の気持ち、社会の中での課題。これからは、そうした経験を活かして、がん患者がもっと生きやすい社会になるような活動にも取り組んでいきたいです。

まずは、髪の毛が生えてくるのを楽しみに、少しずつ前に進んでいこうと思います。

アンナさん衣装:私物
撮影/中田陽子 取材/日野珠希

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