元チャットモンチー福岡晃子さん「子どもの特性を伸ばせる場を探求中です」

子どもが生まれた時、あるいは何年か経った時、はじめて直面する子どもの「障がい」や「難病」──。皆さん一様に、驚きや混乱に包まれたとおっしゃいます。「一体何が起きているの?」「この後、この子はどうなるの?」……そんな不安の中から立ち上がり、力強くそれぞれの人生を歩む親子たちのお話を聞きました。

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福岡晃子さん 音楽家、作家
41歳・徳島県在住

元チャットモンチーのベーシスト。現在は、地元徳島在住で音楽活動を行う。写真の新町川は学生時代からの思い出が詰まった場所です。

子どもの特性を伸ばせる場を探求中
選択肢をできるだけ増やしてあげたい

チャットモンチー解散後、東京で音楽活動を続けていた福岡さん。結婚・出産したのはコロナ禍の’20年でした。「子どもを外に出すこともできなかったので、緊急事態宣言があけるのを待って、徳島に帰省しました。ところが、当時は東京ナンバーの車を実家に停めておくのも肩身が狭いような状況で。仕方なく海にドライブに行ったところ、人っ子ひとりいなくて、犬は嬉しそうに砂浜を駆け回っていました。ここに住むのもありだねと夫と話し、その場で空き家を借りて移住することにしたんです」。

市内からかなり離れた場所で知り合いもいませんでしたが、次第に同世代の友人ができました。「雨が降れば洗濯物を取り込んでおいてくれるような密な距離感で、子どももご飯をごちそうになったり、お風呂まで入らせてもらったり。保育園にも入り、子育てを楽しんでいましたね」。

ところが2歳になる時、園から発達テストを受けることを勧められたのです。「発語は遅かったけれど、男の子はこんなものかなと思ってたんです。でも、担任の先生は緊張した面持ちで、遠回しに専門院での受診を勧めてくれて、ちょっとドキッとしたのを覚えています」。どんな結果が出ても、受け入れられると思っていたという福岡さん。「ところが、医師から自閉症スペクトラム中等度と告げられたときには、泣いてしまったんです。診断前と後と、子どもはなんにも変わらないのに……」。

福岡さんは、チャットモンチー時代から、支援学校の生徒さんたちと交流がありました。「学校でシークレットライブをした時、生徒さんたちが踊ったり近くまで来てくれたりして、心から音楽を楽しんでくれている姿を見て、感激したんです。一緒に何かしたいと、その後チャリティバザーを開く活動を続けてきました。それなのに、自分の子が診断されると涙が出た。そんな自分が情けなくて、何日かは眠れなかったです」。

でも、1週間後には気持ちを切り替えました。「どんなサポートをしたらいいのかをものすごく考えるようになりました。療育にも通いましたが、もっとこの子の特性を伸ばせる場所はないかと探し、フリースクールを見つけ、今は週1回通っています。選択肢を少しでも増やしたくて、将来的には留学も視野に入れています。私は、子どもを通して様々な世界が見えるようになりました。例えば、以前は『なんでこの人、挨拶返さないんだ?』みたいな小さな苛立ちをよく感じたんですが、今は苦手だったり、特性によっては難しい場合もある、と思えるようになりました。子育てが生活と結びついて、やりたいことも広がっています。いつか音楽療法を学びたいとも思っているんです」。

<編集後記>徳島中心街の夜景が美しい新曲のMVもおすすめです

笑顔がとっても素敵で、ファッションもとってもおしゃれな方でした。現在はaccobinとして一人で音楽活動をされていますが、新曲『Particle』がYouTube(https://youtu.be/FeraPTxc-Ag)で公開されています。曲はもちろん素敵なんですが、徳島在中の映像チームと作ったという映像も本当にいいのでぜひ見てみてくださいね。(ライター 秋元恵美)

撮影/BOCO 取材/秋元恵美 ※情報は2025年3月号掲載時のものです。

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