【続2】「いつまで港区女子なの?」香ばしいインスタに心がザワつく…共働きに疲れたワーママがSNSを見てしまう理由

「港区女子」。それは何かと世間の好奇心を煽る存在。

彼女たちは一体どんな女性なのか? そんな議論が度々上がるけれど、港区で暗躍する素人美女、パパ活女子、あるいはラウンジ嬢など……「港区女子」の意味合いや捉え方は人それぞれ。

そして謎に包まれた彼女たちにも時間は平等、歳をとる。港区女子たちは、一体どんな着地をしているのだろうか。現在アラフォーとなっていると思しき元港区女子たちの過去と現在に迫る。

※この物語は実際の出来事を元にしたフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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【続】35歳で7歳年下のイケメンと結婚。「男に頼るのは嫌」な女が、元港区女子に持った優越感

ワーママの現実

「ねえ……今日は美羽ちゃんの寝かしつけ俊也がやるはずだったよね? なんで早く帰ってきてくれなかったの?」

「ごめん。でも仕方ないじゃん。そんな簡単に会社抜けられないって、茜さんだってわかるでしょ?」

「でも、私だってまだ仕事終わってないのに!」

少し前までかわいいと思えた俊也の上目使いに憎しみがわく。「本当ごめんね」と優しく肩を撫でられても、苛立ちは増すばかりだった。悔しくて涙すら出そうになるのをグッと堪える。

待望の娘を産んでから、私の生活は一変した。

朝から晩まで家事と育児に追われ、仕事との両立に四苦八苦する毎日。生活費は俊也と折半しているが、育児の負担はほぼ私にのしかかる。私の産休中も彼は変わらず仕事に専念し、家事や育児に関わることはほとんどなかった。あまりの不平等さに常に疲弊と苛立ちを覚えながらも、日々を必死にこなしている。

娘の美羽はようやく保育園に入ることができたものの、しかし生活は相変わらず余裕がない。

仕事を早退して保育園に迎えに行き、帰宅後は夕食を準備し、美羽の相手をする。夜遅くになってやっと自分の時間が取れるが、そのころには疲れ切っていて、趣味に時間を使う気力はまったく残っていない。それどころか、やり残した仕事を夜通し仕上げることもある。

ーーこれ、いつまで続くんだろう。

全身が疲れて今すぐ眠りたいのに、PCと睨めっこをしていたせいか、深夜2時を回っても目が冴えて眠りが訪れない。もうブルーライトを浴びてはいけないとわかっているのに、こんな夜はついスマホに手を伸ばしてしまう。

「いつまで港区女子なの?」

やめておけばいいのに、どうして私はインスタグラムを開いてしまうのだろう。

そこにはあらゆる女たちの優雅な生活は映し出されている。ブランドバッグを持ち星付きのレストランで食事を楽しむ姿や、リゾートの休日を満喫する写真。その中には朝美と由利の変わらない姿も登場する。

ーーこの子たち、いつまで港区女子やってんだろ……。

もちろん、今さら彼女たちのようになりたいわけではない。

ワーママとしていよいよ多忙を極めた私は隙間時間に港区まで足を運ぶ気になれなかったし、彼女たちと自分はちがう人種だということは何度も痛感してきた。

それでも、こんな夜に贅沢を貪る彼女たちの画像を見てしまうと、どうしてもドロリとした感情がわく。

「……うええええん」

美羽の泣き声にハッとする。

「はいはい、ミルクね」

保育園から「美羽ちゃんのミルクはそろそろ卒業してほしい」なんて言われたけれど、まもなく1歳になる娘はまだ夜泣きをする。ミルクをあげなければなだめる時間も長くなり私の睡眠時間が削られるため、罪悪感を無視して哺乳瓶を渡した。

ベッドの反対側では、俊也は何も気づかず深く眠っている。

港区ママの誘い

めずらしく六本木まで足を運んだのは『人生に行き詰まった。2人に会いたい』という由利らしからぬLINEをもらったからだ。

フリーでアナウンサーや司会業をしていた由利は産後の仕事に苦労しているらしい。というのも幼児はすぐに病気をもらうため、現場仕事に何度も穴を開けてしまい、仕事が激減しているようだ。

「由利なら流行りのインスタグラマーになれるんじゃない?」

「パンがないならお菓子を食べたら?」という名セリフを残したマリー・アントワネットさながらに朝美は言う。アラフォーになっても彼女のお気楽さは変わらない。

「私、東堂さんからもらったブランド物売ってどうにかやってるんだよ。そしたらさ、今ヴァンクリってすっごい値上げしてるんだね。私知らなくって、適当な値段で売っちゃってさ。もう一生買えないかもしれない」

笑いを誘いたいのか、涙を誘いたいのか。それでも由利は高価なジュエリーを身につけ、実家の太い夫の父親から与えられたという広尾のマンションの一室に住んでいる。とはいえ、お受験やインターナショナルスクール、習い事などに莫大なお金がかかり生活が苦しいと嘆いているのだ。

「それよりさ、今度子どもたちとディズニーランドのバケーションパッケージに行こうと思って予約したの。2人も一緒にどう? まだ空きがあってね……」

朝美の突拍子もない誘いに「行く!」と即答したのは、半ば意地だった。

最近話題の高額なディズニーの泊まりツアー。大きな出費にはなるものの、冬のボーナスが出たばかりだから無理ではない。

美羽も最近はディズニーのアニメを見始めたし、朝美と由利の娘たちと同じ経験をさせたい気持ちが優った。

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【続3】「私は港区に住めないの」教育格差に絶望…港区女子になれなかった女の本音が暴かれたとき

取材/山本理沙 イラスト/黒猫まな子

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