黒木瞳さん「戦いのような夫婦喧嘩」でも「夫には感謝しかない」理由とは
これまで何度も『美ST』にご登場いただいている俳優の黒木 瞳さんですが、年齢を重ねるごとにますます輝きを増し、その可愛さは驚異的! 今回は宝塚入団のきっかけや現在公開中の劇場アニメ『ベルサイユのばら』との縁、映画『失楽園』後、多忙を極めた40代、そして夫婦の関係性などについてたっぷりお話を伺いました。40代に向けた心に響くメッセージもご紹介します。
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黒木 瞳さんから美しき40代へのメッセージ

《PROFILE》
俳優。これまでの映画作品において、「WEIBO Account Festival 2022」最優秀女優賞受賞。2023年6月公開映画『魔女の香水』で主演。2024年に14年ぶりとなるディナーショー『for you』を演出、出演。2025年1月からはリーディングエンターテイメント『ルビンの壺が割れた』の演出を手がけ、主演も。近年は映画監督として4作品を手がけるなど、エンターテインメントの世界で幅広く活躍中。
宝塚は自分との闘い。厳しい日々でした
1月31日公開の劇場アニメ『ベルサイユのばら』ではナレーションを担当しています。
宝塚に入ったきっかけは高校生のとき、福岡市民会館に舞台『ベルサイユのばら』を観に行ったこと。宝塚の存在は知っていましたが、こんな煌びやかな世界があることを知り、高校3年間毎年観に行きました。でも別世界で、行きたいとは思ってなかったんです。ところが3年生のとき、「どうやったら入れるのかな?」と単純に思い、願書を送ってもらうと、年齢制限が15~18歳で、私にとって最後の年。現実的ではなかったですが、とりあえず願書だけは出しておき、当時目標の音楽大学の受験勉強に励んで合格しました。その後に宝塚の試験があり、母にだけ告げて受けに行きました。大学が決まっているのでがむしゃらでなく、何も背負ってないのが良かったのか、笑顔で試験を楽しめました。面接では一言話すたびに面接官に笑われ、「なぜあなたみたいな人が受けに来たの?」と聞かれるんです。声楽はやっていたけど、バレエはやったことがなかったので当然です。1次試験さえ受かるとは思っていなくて、ホテルをチェックアウトして伊丹空港に行く道すがら発表を見に行ったら合格していました。夢のような世界に行ける切符を手にしましたが、家族は全員大反対。でも祖母が「好きにさせてあげたら」と助け船を出してくれ、最終的に父も承諾してくれました。
宝塚音楽学校はそれは厳しかったですが、礼儀作法や規則に関しては守ればいいだけなのでそれほど苦じゃなく、何よりも自分との闘いが一番苦しかった。朝から晩までお稽古に明け暮れ、もう二度とやりたくないと思うくらいです(笑)。
恵まれていたと思うのは、先輩の大地真央さんとの出会いです。プロフェッショナルであること、パーフェクトであるべき歌や踊り、舞台上での心構えなど、全部ひっくるめて教えてくださいました。感謝しかありません。今も先輩と後輩の関係は変わりませんが、尊敬する大切なお姉さんです。今でも真央さんとは丁寧語で話しますが、仲良くしてもらってます。
舞台『ベルサイユのばら』に憧れて宝塚に入ったものの、私たちが在籍中はベルばらブームが一段落した時期で、結局現役中は演じることができませんでした。昨年は宝塚でのベルばら初演から50周年でした。映画になることをいち早くニュースで知り、民衆の1人でもいいから出演できたら嬉しいと自ら立候補。結果的にナレーションを務めさせていただき、長年の夢が叶い、本当に幸せですね。
夫には自分の負の側面を見せることができます

主演映画『失楽園』公開の翌年、37歳で長女を出産。40代は子育て真っ最中の一方で仕事のオファーをどんどんいただき、毎年のように主演映画に出演しました。そこははっきり両立はできないです。だからスタッフと夫や家族に手を借りて支えてもらいました。
毎日、ベビーシッターさんには、娘への手作りの朝食、ランチ、おやつ、夕飯と、その日に着る洋服を前夜に用意してメモとともに渡しました。当時はほとんど寝る時間がなかったです。超多忙でしたが、40代って一番動けるとき。気持ちも体力も勢いのある時期で、やろうと思えば何でもできる。だからあの忙しさをも乗り越えることができたのだと思います。
仕事のオファーは途切れなかったけど、チャンスとは捉えてなかったです。自分のポジションがその作品の中でどういう立ち位置で、制作側が私に何を求めているのかを客観的に判断し、どう演じるか、どんな衣装を用意するか、1つの駒として入念に模索することの繰り返しでした。現場に入る前に、イメージトレーニングや訓練に時間をかけ、リビングで朝から晩まで四苦八苦。集中力ってもたないから、大抵煮込み料理をしながら。それは今も変わっていません。ストレスを感じることもありましたが、私にとってリラックス方法は家族と何げない日常を送ること。本当に家族はありがたいです。
先日、まったく夫婦喧嘩をしない2組のご夫婦にお会いしてびっくりしました。うちは戦いですから。原因は覚えていないような些細なことですが、例えば娘にはご飯を作ったけど僕には作ってくれなかったと後々根に持っていたことを知ったら、私はスルーできないので喧嘩になります。夫婦喧嘩って体力いるんです。だから仕事が暇なときにするようにしていますが、どんなに腹が立っても、おはようやおやすみなど挨拶はするんです。そうすると徐々に戻っていくのですが、昨年初めて1週間まったく口をきかない喧嘩をしました。そのときは娘に「助け船出してよ」とお願いすると、夫を諭してくれました。感謝は心からしています。喧嘩もします。私は自分のいいところは見せていないかもしれません。髪を切っても気づかない人ですから。いいところよりできないこと、辛いとき、病気したときなど、自分のイヤな面を見せて話せる人。だから夫には感謝しかないかな。そう言っておきましょう。
結婚10周年、銀婚式、真珠婚は何らかのお祝いをしました。25年のときは福岡で親戚一同集めて、私は銀のドレス、夫は銀のスーツを着て、教会を借りて、ギャグみたいな銀婚式を決行。楽しそうだからやりたいって言ったら、夫は「やりたいならやれば?」って感じでした。
娘と3人でも2人でもうちの夫婦の関係は何も変わらないと思います。
自分らしく積み重ねてきた日々に自信を持つこと
今、年齢にこだわりすぎていると思います。40代でも20代の体力の人もいれば、60代の体力の人もいるように、自分が40代だからこうしなきゃなど、枠にはめないことだと思います。周囲が決めることに翻弄される必要はなく、命を授けてもらったときから自分らしく積み重ねてきた日々に自信を持てばいいのではないかと自分にも言い聞かせています。そう考えると見えてくる景色も違ってくると思います。
昨年から、生活の中にジムが加わって、今までやろうと考えたこともないようなことを真面目に続けている自分に驚いています。「無事是名馬」という言葉通り、健全な体と心で年齢を重ねていきたいと、この歳になって心から実感しています。日々の努力は大切ですね。
私はね、ステージに立って、スポットライトがついたとき、お客さまが一斉に笑顔になる瞬間が、この世界で続けて来てよかったと思う、かけがえのない至福の時だと思っています。
とはいえ、急にマグロが食べたくなってお寿司をテイクアウトして、マグロだけ食べる、そんなプチ贅沢もたまにはすごく幸せです。
40代のころの私

映画『東京タワー』やドラマ「恋を何年休んでますか」の頃でしょうか? 仕事をたくさんいただき、映画やドラマに加えて、FNS歌謡祭などの総合司会もし、40代は超多忙に過ごしました。ヘアも今とは真逆で、ずっとショートでした。
黒木 瞳さんが40代に伝えたいこと

40代は人生の真っ盛り。まさに朱夏。カラダも心も元気だから、やりたいことは何でもできるし、楽しめます。一日一日がいかに貴重かを実感して無駄にしないでほしいですね。
《衣装クレジット》
トップス¥24,200(ナゴンスタンス) スカート¥24,200(Ameri /AMERI VINTAGE)ピアス¥12,100(Jouete) ネックレス¥77,000 リング¥47,300(MARLENA/ enwsp銀座)
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2025年『美ST』3月号掲載
撮影/枦木 功 ヘア・メイク/座間亜希子(マービィ) スタイリスト/後藤仁子 取材・文/安田真里