――センシティブな内容を扱うにあたり、苦労した点はありますか？

正井：原作にあるセリフのなかには地上波だと出せない言葉があれこれと…。そのあたりの言い回しを脚本家さんと相談して、社内チェックをして、ダメだったらまた脚本家さんと相談して再度チェックして…と繰り返し、丁寧に進めていきました。ヤチナツ先生に脚本を確認していただいたのはそれらがすべて整った後。

ヤチナツ：そんなに時間をかけて考えてくださっていたことを今知りました(笑)。でもドラマ化するというお話をいただいたときに「こういう題材だから難航することが多いだろう」とは予想していたので、案の定たくさんの議論があったんだ…とありがたい気持ちです。それでいて原作のポップな空気感は維持してくださっていて。

――アカリ以外のキャラクターも魅力的ですよね。紘菜さんに、共演者の方々との裏話をお聞きしたいです。

紘菜：若いキャストが多く、主演という立場上私がひっぱらなきゃ…と気負いがあったのですが、店長の柳楽を演じる山崎樹範さんとのシーンでは山崎さんに甘えきりでした。
とにかくお芝居の引出しが多い方なので、私が突然アドリブでお芝居を変えても全部受け止めてくださって、そのうえ何倍ものアイディアをもって返してくださる。たくさん勉強させていただきましたし、何より一緒にシーンを作り上げていく作業が楽しくて仕方なかったです。

――今回は、様々なイケメンセラピストも見どころの一つですよね。施術シーンのこだわりを教えてください。

正井：セラピストのカラダがキレイに見えるように撮ることも意識しました。セラピストが女性に施術をするシーンを撮る直前になると、その役の俳優さんたちが必ず筋トレをしだすんですよ。誰かがインティマシーコーディネーターさんに演技指導をしてもらっている真面目な会話のその横で、ほかの誰かはせっせと筋トレしているというような(笑)。筋肉を起こしてカラダをキレイに見せるためですが、現場のそんな光景もこのドラマならでは。なかなか面白かったです。
それと、実際にセラピストとして働いている方に来ていただいて施術の指導もしてもらいました。たとえば手の使い方次第でお客様が感じる気持ち良さが変わるそうなので、手の演技にもこだわったり。これもドラマだからできる演出なので、そんな細かい動作から実際のサービスの空気を感じていただけたらと思います。